【2020年版】オフショア開発がオンショア開発より人気な理由とは?

【目次】
はじめに
オフショアとオンショアの違い
オフショア開発のメリット
オフショア開発のデメリット
オンショア開発のメリット
オンショア開発のデメリット
オフショアがオンショアより人気なワケ
おわりに

はじめに

「オフショア開発」という言葉を最近よく耳にするようになりました。オフショア(off=離れて shore=岸を)という言葉の通り、海外に開発業務を委託することを、オフショア開発と言いますが、その反対語を「オンショア開発」と言います。

2011年頃からオフショア開発を行う企業が増加し、現在では日本企業の45.6%がオフショア開発を導入しているというデータもあるほど、日本ではポピュラーな開発手法になったオフショア開発ですが、

「オフショア開発ってどんなメリットがあるの?」
「オフショア開発とオンショア開発の違いについて知りたい」

という疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、オフショア開発とオンショア開発のメリット・デメリットや、オフショア開発が近年人気な理由を解説していきます。

オフショア開発に踏み出そうか迷われている企業の方は、ぜひ参考にしてみてください!

オフショアとオンショアの違い

オフショア開発とは、システムなどの開発業務を海外企業や海外の現地法人に委託する開発手法のことです。委託先としては中国やインド、近年ではベトナム、タイなどの東南アジアが人気です。

オンショア開発とは、「オフショア開発」の対義語で、自社内で開発を完結させることを言います。近年では、国内のIT人材不足を受けて、社内の開発チームでも日本と海外の人材が入り混じっている体制が普通になっています。

次章から、オフショア開発とオンショア開発のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます!

オフショア開発のメリット

大幅なコストの削減ができる

オフショア開発最大のメリットとして一般的に知られているのが、開発コストを大幅に抑えられることでしょう。
7~8年前までの日本のIT業界では、すべての開発を自社内で行う「オンショア開発」が主流とされてきました。しかし、国内のIT人材が不足してきたことや、それに伴う人材確保のためのコスト上昇がデメリットとなり、日本よりも人件費の安い海外企業に開発を委託するオフショア開発をすることで人件費を抑える方法を取る企業が増えています。

優秀なIT人材の確保

委託先として人気の東南アジアでは、最低賃金に日本と1/5ほどの格差があります。そのため、オフショア開発で雇う人材の給料は、現地の給与水準ではかなり高い金額に設定されているのです。給料が高いことで、募集人材が大量に集まり、それだけ優秀な人材を選りすぐり自社に確保することができます。近年東南アジアでは、ICTの専門学校も続々と設立されていますが、そのような海外のIT人材は、日本のIT人材と比較しても業務スキルが劣ることはなく、レベルの高い品質のものが作れるので、企業側からするとメリットが大きいと言えるでしょう。

海外に開発拠点を持てる

市場がグローバル化している社会において、開発したソフトウェアは日本国内のみで使われるというものは少なく、製品のグローバル展開を視野に入れるケースが多くなっています。このように、コスト削減だけでなく、海外に拠点を設けるという目的でオフショア開発に踏み切る企業も近年増えています。また、海外で開発拠点を設けるとエンジニアの稼働時間が増えます。これは国同士の時差や、祝日の日数差によるものです。例として、2017年の日本とベトナムの祝日の数を比較すると、日本が17日あったのに対し、ベトナムでは10日と1週間分の差が出ます。日本国内でのオンショア開発よりもエンジニア1人あたりの開発日数が多く確保できることになります。

オフショア開発のデメリット

言葉や文化の違い

オフショア開発では、文化の違いや言葉の違いが大きな壁となります。
言葉や文化の違う人々と、開発案件を共にするということは、思っているより簡単にはいきません。オフショア開発の失敗事例が多いのもこれが原因です。相手の国の文化や習慣を理解して、事前にリスク管理を行うことが必要です。
また、オフショア開発の依頼主と委託先の架け橋となるエンジニアをブリッジエンジニアと呼びますが、このブリッジエンジニアによってコミュニケーションの取りやすさも変わってきます。ブリッジエンジニアはできるだけ優秀で信頼できるような人材を選ぶとよいでしょう。

管理が手間

オフショア開発のよくある失敗事例の原因のほとんどはコミュニケーション不足によるものです。そのため、オフショア開発には細かな進捗確認が必須となります。時差を考慮しつつ、コミュニケーションをこまめにとることは意外と難しいものです。
また、フィリピンなどの公用語が英語の国を除いては、仕様書や設計書も日本語から英語、英語から現地語に翻訳する必要も出てくるでしょう。このようにオフショア開発のプロジェクトでは、オンショア開発と比較すると手間がかかるという点は否めません。

小規模の開発案件には向かない

オフショア開発では、人件費の安い海外の人材を活用することでコストの削減が実現します。そのため、より多くの人材が必要となる大型の開発案件ほどコストメリットが出しやすくなりますが、反対に、小規模の開発案件もオフショアしてしまうと、現地への渡航費や宿泊費がかさみ、かえってコストがかかってしまったということにもなりかねません。オフショア開発を利用する際には、大型の開発案件が向いています。

オンショア開発のメリット

コミュニケーションがとりやすい

オンショア開発では、言葉や文化の違いがありませんのでコミュニケーションの心配がありません。また、社内ですべての開発を担当しているので、トラブルが起きた際や納期まで時間がない時でも、素早く対応することができるという開発のスピード感においては大きなメリットがあります。

情報漏洩の心配がない

海外のオフショア開発で大きな懸念点となるのが情報の漏洩です。新しい製品の開発などの場合、万が一現地のオフショア開発会社が情報を漏洩してしまっては大問題です。委託先によっては、自社で情報管理についての教育を行うケースもあるでしょう。そういった点では、社内で一通りの開発を行うオンショア開発ほうが安全に開発を進めることができます。

オンショア開発のデメリット

優秀な人材を確保しづらい

現在国内では深刻なIT人材不足に陥っています。そのため、そもそも国内のIT人材を確保し、自社の開発リソースだけで開発案件をまわすことのできる企業は多くありません。冒頭でも述べましたが、日本と海外の人員を混合して開発チームを組むことが今後のシステム開発においてスタンダードな体制になっていくでしょう。

オフショア開発よりもコストがかかる

IT人材不足を背景に、国内におけるIT人材の競争率は年々上昇しています。それに伴い、IT人材の人件費も上昇しています。
オフショア開発においても、かつて委託先の中心地であった中国の人件費が高騰し、ベトナムが委託先の主流に移り変わりましたが、同じような現象が国内でも深刻な問題となっているのです。

オフショアがオンショアより人気なワケ

「オフショア開発は今後もなくならないの?」
「オフショア開発でも人件費が高騰しているって本当なの?」

こんな不安を抱えている企業の方も多いですよね。

オフショア開発においても、人件費が今後高騰していくのは明らかです。中国が経済成長に伴い人件費が高騰したように、現在新規オフショア開発案件の約7割を占めるベトナムでも毎年人件費が上昇しています。しかしながら、オフショア開発の需要は今後も増えていくとみられています。

その理由が国内の深刻なIT人材不足です。経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2020年には約30万人、2030年には約59万人ものIT技術者が国内で不足すると予測されています。

オフショア開発を利用しているIT企業は約50%というデータもあるように、今やIT企業にとって、オフショア開発は開発リソース確保のための必要な手段となっているのです。これからオフショア開発をしようと検討している企業の方は、委託先の経済状況などを確認し、オフショア開発のトレンドをしっかりと押さえておかなければなりません。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は日本のIT企業において、約半数がビジネスモデルとして活用しているオフショア開発が、なぜ人気なのかということをご紹介してきました。

  • オフショア開発とは、海外へ開発業務を委託する開発手法のこと
  • オンショア開発とは、自社内で開発案件をまわすこと
  • オフショア開発のメリット
    ➀大幅なコストの削減➁優秀な人材の確保➂海外に開発拠点を持てる
  • オフショア開発のデメリット
    ➀言葉や文化の違い➁管理が手間➂小規模の開発案件には向かない
  • オンショア開発のメリット
    ➀コミュニケーションがとりやすい➁情報漏洩の心配がない
  • オンショア開発のデメリット
    ➀優秀な人材を確保しづらい➁オフショア開発よりもコストがかかる

時差や言葉、文化の違いなどオフショア開発ならではのデメリットもありますが、ブリッジSEなどをとおしてしっかりと対応することで、オンショア開発に比べて低コストで同等やそれ以上の開発ができることがオフショア開発のメリットとも言えます。
ぜひ、海外でのオフショア開発を開発手法の1つに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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