【2020年版】オフショア開発最新の現状や動向を5分で解説!

近年オフショア開発が注目されています。オフショア開発とは、人件費の安い海外にシステム開発を委託する開発手法のことで、将来的にこの開発手法はもっと増えていくと予想されています。

今回は、そんなオフショア開発のメリット・デメリットやオフショア開発の現状、動向について簡単に解説していきます。オフショア開発をすでに活用している企業の方や、これからオフショア開発をしようか検討されている会社さんは、ぜひご一読ください!

オフショア開発とは?

オフショア開発とは、システムやアプリなどの開発業務を海外の開発会社や海外子会社に委託することです

委託する主な業務としては、システムやアプリ開発の他にも、ソフトウェア開発、開発後の運用保守などがあります。また、近年では開発業務の他にもデータ入力やコールセンター業務などもオフショアリングする企業が増えています。

オフショア開発が注目されているワケ

1.IT人材不足

近年オフショア開発が注目されている背景には、日本のIT人材不足があります。インターネットが普及している現代では、IT企業の需要がどんどん拡大していますが、少子高齢化による労働人口減少などにより、国内のIT人材だけでは全く足りていない状況です。
経済産業省の調査結果によると、2020年には約30万人、2030年には約59万人ものIT技術者が不足すると予測されており、これらは社会問題になっています。

2.海外進出しやすい時代に

これまで企業の海外進出といえば大規模な投資が必要でしたが、最近ではインターネットの普及により大規模な投資をしなくても海外に進出することができるようになりました。特にSkypeなどの遠隔会議システムが発達し、現地への渡航費や滞在費の負担が大幅に軽減されたことは、大企業だけでなく中小企業が海外進出する足掛かりになっています。

3.エンジニアの宝庫

現在日本ではIT人材不足により高待遇で募集をしても人材が集まらないのが現状ですが、東南アジアの国々では官民一体でIT人材の育成に力を入れているので、若くて実力のあるエンジニアが豊富です。大規模な案件にも対応できる開発会社が増えてきているということも、オフショア開発が選ばれる理由です。

オフショア開発で人気の国

インド

世界有数のIT大国であるインドは、日本でも人気の委託先です。インドには優秀な人材が多く、オフショア開発の歴史も古いので、ノウハウを理解している開発会社も多く、委託しやすいのが人気の理由です。しかしその高い技術力がゆえ、インド人エンジニアの人件費は年々高騰しています。インドにオフショア開発を委託する際は、その技術力を利用して開発業務の上流工程を委託したほうがコストメリットが出やすいケースもあります。

中国

現在委託先の中で最も多くの割合を占めるのが中国です。圧倒的エンジニア数を誇る中国は、日本との時差もほとんどなく、リアルタイムでコンタクトを取ることができるのも魅力です。ですが、中国でも急速な経済成長に伴う人件費の高騰が起こっています。そのため、コスト削減だけをオフショア開発の目的としていた日本企業の中には、中国から徹底する企業も増えてきています。

ベトナム

委託先の中でも今一番人気なのがベトナムです。インドや中国に比べて人件費が安く、親日国で真面目なベトナム人の国民性が日本人と通じるものがあり、ともに仕事をしやすい国と言われています。ベトナムでは政府がICT教育を推進しており、優秀なIT人材が集まりやすいのも魅力です。今後人件費が高騰することは考えられますが、現時点でのベトナム人エンジニアの平均賃金は日本の1/3程度なので、まだしばらくはコストメリットを出していくことが可能でしょう。

フィリピン

フィリピンも近年人気急上昇中の委託先です。フィリピンが人気な理由は、英語でコミュニケーションが取れるという点です。フィリピンでは英語が公用語の1つになっており、大学卒業程度の学生であれば、英語でコミュニケーションがとれます。コミュニケーションを積極的にとることは、オフショア開発のプロジェクトを円滑に進めるうえでとても重要なので、英語が話せるというだけで魅力なのです。

オフショア開発のメリット・デメリット

オフショア開発のメリット

コスト削減

人件費の安い海外に開発を委託することで、大幅に人件費を削減することができます。特にシステム開発などの開発コストは、そのほとんどを人件費が占めていますので、人材が必要な大規模案件になればなるほど、大幅なコストカットが実現できます。

IT人材の確保

東南アジアではオフショア開発誘致のために政府がICT教育を推進している国も多く、若くて優秀なIT人材が豊富です。最近のオフショア開発では、そのような優秀な人材をラボ型開発という契約形態をとり自社の開発チームとして確保しておくケースが増えています。

ラボ型開発とは?

オフショア開発には、受託契約ラボ契約という契約形態があります。受託契約は、開発案件ごとに契約する形態で、ラボ契約は、開発案件の有無にかかわらず一定の期間を定めて契約する形態です。このラボ契約によるオフショア開発をラボ型開発と言います。ラボ型開発のメリットは、①案件ごとに契約する手間がない➁優秀な人材を期間中確保しておける➂急な仕様変更などがあっても臨機応変に対応することができる、などがあります。

オフショア開発のデメリット

人件費の高騰

オフショア開発を委託する国は新興国が多く、経済発展が著しいため今後人件費が高騰していきます。インドや中国ではすでに人件費が高騰しており、オフショア開発から撤退する日本企業も増えてきました。オフショア開発の委託先を検討する際には、委託先の経済状況を確認しておく必要があります

文化の違い

日本と外国では文化の違いや価値観の違いがあります。そのため、仕事に対する意識も違います。日本人は良くも悪くも仕事に対しては真面目に取り組みますが、海外では必ずしもそうではありません。相手の国の文化や習慣も理解して歩み寄る姿勢が大切です。オフショア開発をする際に互いの国の架け橋となるエンジニアをブリッジSEと呼びますが、ブリッジSEは非常に重要なので信頼できる人材に任せましょう!

言葉の壁

海外では、言葉の違いから小さなニュアンスが伝わらないことがよくあります。これをオフショア開発でやってしまうと要件仕様に関しての意思疎通がうまくいかず、プログラムの品質低下や作り直しによるコスト増や納期延滞にもつながってしまいます。相手に伝わりやすい仕様書をつくるなどの工夫が必要です。

オフショア失敗を防ぐ3つの方法

準備は念入りに行う

オフショア開発を実行に移す前に、準備やリスク管理をしておきましょう。たとえば、仕様書は海外のエンジニアにもわかりやすい作りになっているか、万が一トラブルが起きた際にはどう対処するのかなどです。これらをあらかじめ準備をしておくことで、追加費用や納期遅延になるリスクを減らすことができます。

開発進捗の見える化

オフショア開発では開発進捗を見える化することが大切です。進捗報告で不安な部分があったら図やソースコードを送ってもらったり、メールだけで連絡を終わらせるのではなく、出来れば定期的に現地を訪れて開発状況を確認しましょう。そうすることで、プログラムの進歩状況や品質がわかり、訂正してほしい箇所も直接依頼できます。

コミュニケーションを積極的にとる

オフショア開発を成功させる最大のポイントはコミュニケーションです。よくある失敗原因のほとんどはコミュニケーション不足によるものなので、相手と密にコミュニケーションを取ることができれば問題点のいくつかは解決されます。日々のタスク管理やFBも日本側できちんと行うようにしましょう。

【2020年版】オフショア開発の現状と動向

IT人材不足が深刻化していることや、IT企業の需要拡大をふまえると、オフショア開発は今後も増えていくと予想されています。
かつてのコスト削減だけを目的としたオフショア開発ではなく、優秀なIT人材の確保や海外進出などを目的としたオフショア開発が増えており、オフショア開発に対するニーズの変化が表れています。

現在、委託先ではベトナムが人気ですが、今後はフィリピンやインドネシア、ミャンマーなどにもオフショア開発が展開していくでしょう。
これからオフショアの委託先を検討する会社さんは、人件費の高騰や、政治面、経済面などの様々な観点から、長期的な視点で委託先を検討する必要があります。

おわりに

オフショア開発のメリットや人気の委託先から、今後の動向まで解説してきましたがいかがでしたか?

  • オフショア開発とは、システムやアプリなどの開発業務を海外の開発会社や海外子会社に委託すること
  • オフショア開発が注目されているワケ
    ➀IT人材不足➁海外進出しやすい時代に➂エンジニアの宝庫
  • 人気の国は、インド、中国、ベトナム、フィリピン
  • メリットは、①コスト削減➁IT人材の確保
  • デメリットは、①人件費の高騰➁文化の違い➂言葉の壁
  • オフショア開発のニーズが変化しており、今後も委託先が多様化していく

オフショア開発は、海外でビジネスをするためリスク管理も必要で、大規模なプロジェクトとなりますが、昔と比べるとそのハードルも低くなりました。
「エンジニア・プログラマーを増やしたい」「海外に拠点をつくりたい」という会社さんは、ぜひ海外でのオフショア開発を検討してみてはいかがでしょうか。

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