オフショア開発のメリット・デメリット|導入前に確認しておくべきこと

【目次】
はじめに
オフショア開発のメリット
オフショア開発のデメリット
オフショア開発導入のタイミング
【秘策】メリットを活かす方法
おわりに

はじめに

ソフトウェアやアプリケーションなどの開発を海外にアウトソーシングするのは、今やIT企業のスタンダードといえる時代になりました。こうした開発業務を海外に委託する「オフショア開発」にはさまざまなメリットがあり、規模の大小にかかわらず多くの企業が利用しています。また、オフショア開発の利用は今後ますます盛んになっていくと予想されます。しかしその反面、自社内で開発しないデメリットもあるということを念頭に置いておきましょう。
今回は、そんなオフショア開発のメリットおよびデメリットを考えながら、導入のタイミングやメリットを活かす方法などを解説します!
「オフショア開発をこれかなしようかな…」と悩んでいる会社さんはぜひ参考にしてください。

オフショア開発のメリット

高い技術を安価で利用できる

ソフトウェアやアプリケーションの開発業務を海外にオフショアする最大のメリットは、開発にかかるトータルコストの多くを占める人件費を大幅にカットできるところです。委託先の国によって金額に差はありますが、日本のITエンジニアと比較すると、3分の1~4分の1程度の費用で済むといわれています。また、安かろう悪かろうではなく、海外のITエンジニアのスキルは、日本のクオリティとさほど変わりません。高い技術を安価で利用できるのは、オフショア開発最大のメリットです。

IT人材を簡単に確保できる

オフショア開発では、高い技術力を持つITエンジニアを大量に採用することが可能です。日本のITエンジニアは慢性的に不足しており、国内の優秀な人材の確保が困難な上、たとえ採用できたとしても高い人件費を支払わなくてはなりません。一方で、海外では安価で優秀なITエンジニアの大量採用が可能であり、国内のリソースだけでは不足しがちな人材を確保できるのです。これにより、スピーディーな開発や納期の短縮も期待できます。

確保した人材を離さない!ラボ型開発について

優秀な海外のITエンジニアを確保できたら、その人材に継続して業務を委託したいですよね。そうした場合に最適なのがラボ型契約という契約方法です。ラボ型契約には期間の定めがあり、その期間中は費用が発生するものの優秀な人材を失う心配はありません。企業専属の開発チームを作ることも可能です。プロジェクト毎に委託先を変えると、その都度契約の締結や業務の説明などが必要になりますが、ラボ型開発を行うことでその手間を省くことができます。

オフショア開発のメリットをさらに詳しく知りたい方はこちら

オフショア開発のデメリット

言語の違い

自社の業務を海外にアウトソーシングすることで、一定のリスクが生じますが、まず一番に考えられるのは、言語の違いによる意思疎通の困難さでしょう。現地で日本語に長けた海外のITエンジニアは、ほとんどいません。基本的には英語でのやり取りになります。そのため、指示内容がうまく伝わらなかったり、設計通りの開発が進まなかったりなどといったトラブルが起きやすいのです。言語の壁を解消するために通訳を介するのも一つの方法ですが、その分コストがかかるというデメリットがあります。

距離の遠さ

日本と海外では物理的な距離があり簡単に行き来できません。こうした物理的な距離があると、直接会って度々打ち合わせやミーティングを実施することが困難になります。しかし、現在は映像や音声のやりとりができるWeb会議システムを利用することで、遠隔地にいる人たちの顔を見ながらリアルタイムで話すことが可能です。Web会議は、インターネット環境およびカメラやマイク・スピーカーなどの設備を整えれば誰でも利用できます。現地に行かずとも、海外のITエンジニアたちと実際に会っているかのように話せる上、出張費用などのコストがかかりません。距離の問題は、Web会議システムを利用することである程度は解消できるといえるのではないでしょうか。

稼働時間の違い

海外の国々とは時差があります。日本が昼間でも国によっては夜中であり、委託先と連絡を取るタイミングが難しいといったことも起こり得るのです。オフショア開発の委託先を選ぶ際には、なるべく日本との時差が少ない国を選ぶのをおすすめします。さらに、文化の違いにより国民の祝日も異なります。事前に委託先がクローズする日も確認しておく必要があります。

オフショア開発のデメリットをさらに詳しく知りたい方はこちら

オフショア開発導入のタイミング

開発コストを大幅に削減できるという話を聞くと、オフショア開発をすぐにでも導入したくなるでしょう。しかし、海外にアウトソーシングすることのメリットだけでなく、デメリットも考慮した上で、事前にリスク回避のための対策を十分に講じる必要があります。
逆にそれができないようであれば、オフショア開発の導入は、かえってコスト増や納期遅れなどのデメリットにつながる可能性も高くなってしまいます。

こうしたリスクを回避するためには、わかりやすい仕様書や設計書の作成、業務手順やルールの統一、クオリティ維持のための管理体制の整備などが不可欠です。トラブルが発生したときの対応マニュアルを整備しておくことも理想です。導入前に十分なリスクマネジメントをしておけば、いざ契約となったときにあわてることもないでしょう。

また、オフショア開発の費用対効果が高いのは中~大規模の開発案件であり、小規模な案件ではメリットを感じづらいといえます。こうした案件の開発にかかるコストは、国内のITエンジニアを起用した方が安く済む可能性が高いのです。国内で開発する場合と海外にアウトソーシングする場合にかかるコストを計算し、よりメリットがある方を採択するとよいでしょう。

このようにリスク対策を万全にしメリットが明確になれば、オフショア開発を導入する絶好のタイミングといえます。

【秘策】メリットを活かす方法

オフショア開発は、開発の規模が大きいほどコスト面でのメリットが出やすいといわれています。
開発の規模が大きければ、その分開発期間が長くなる上、一定数のITエンジニアを長期間確保しなければなりません。そうした際にラボ型開発を採択することで、大きなメリットを得られます。ラボ型開発の契約では、長期におよぶプロジェクトにおいて自社専属の開発チームを構成できるため、契約期間中に優秀な人材を必要な数だけ確保できます。
また、引き続き定期的な保守作業をアウトソーシングできる、開発ノウハウが共有・蓄積され別のプロジェクトを依頼しやすくなるなどといった利点がある上、何度も契約を締結し直す必要がありません。したがって長い時間を要する大規模案件では、ラボ契約を採択することでオフショア開発の費用対効果をより高められるといえるでしょう。

おわりに

オフショア開発のメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

  • オフショア開発のメリット:高い技術を安価に利用できる、IT人材を簡単に確保できる
  • オフショア開発のデメリット:言語の違い、距離の遠さ、稼働時間の違い
  • オフショア開発を導入するタイミングは、リスク対策を万全にし、メリットが明確になる案件の時
  • ラボ型開発をすることでオフショア開発の費用対効果を高めることが可能

オフショア開発にはさまざまなメリットがある反面、案件の内容や導入のタイミングによっては、かえってデメリットが生じることもあり得ます。ソフトウエアやアプリケーション開発を国内で行うよりも海外にアウトソーシングすることのメリットが大きければ、オフショア開発の導入を積極的に検討するべきでしょう。さらに、導入にあたっては、事前にリスク対策を万全にしておくことも重要です。言語や文化の違いを理解し、想定されるトラブルを回避できるようにしておきましょう。

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