【2020年版】時代はニアショア?オフショアとニアショアを徹底解説!

現在日本が刻なIT人材不足に陥っているのはご存じですか?
既に国内のIT人材だけではまかないきれず、いまやシステム開発業務は海外と国内の人材が混合した体制であることは普通になっています。

開発体制も時代が経つにつれて多様化しており、オフショア開発とニアショア開発では、その特徴やメリット・デメリットに違いがあります。
「オフショアとニアショアってどんな違いがあるの?」
「うちの企業にはオフショアとニアショアのどちらが適しているのだろう…」
こんな疑問や悩みを抱えている会社さんは多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、以下の情報をまとめています!

  • オフショアとニアショアの違い
  • オフショアとニアショアの取り組みは今後も増えていくのか?
  • オフショアとニアショアを使い分けるポイント

「社内業務の一部を海外または国内に委託しようかな」と検討中の会社さんは、ぜひ最後までお読みください!

オフショア開発とニアショア開発って何が違うの?

オフショアとニアショアの大きな違いは開発委託先が海外国内かというところです。

オフショアは、off(離れる)shore(岸)という文字からもわかるように、海外へ業務を委託する言葉を指します。委託先としてメジャーな国は、中国やインド、最近ではベトナムなどがあげられます。

ニアショアはnear(近く)shore(岸)という言葉のように、日本国内の地方都市へ業務を委託することを指します。委託先としては、北海道や東北、沖縄といった地方があげられます。

オフショア開発のメリット・デメリット

オフショア開発のメリット

大幅な開発コストの削減

システム開発にかかるコストのなかで、圧倒的な割合を占めるのが人件費です。オフショア開発では、この人件費を大幅に削減することができます。たとえば、近年オフショア開発の委託先として人気のベトナムの人件費は日本の1/3程度です。中国やインドと同様に、ベトナムでも急激な経済成長が進むと人件費の高騰も考えれらますが、それでもしばらくは圧倒的な開発コストの削減が実現できるといわれています。

優秀なIT人材の確保

現在日本は、IT人材不足に悩まされています。今後も少子高齢化などの影響でIT人材不足は深刻化すると予測されており、経済産業省は2030年までに78.9万人のIT人材が不足すると試算しています。
現在東南アジアでは、官民一体でIT人材の育成が行われており、年齢も若く技術力の高いIT人材が増えています。それらの国にオフショアすることで、優秀なエンジニアを簡単に確保することができるのです。

海外進出への可能性

日本のマーケットは少子高齢化の影響により今後も縮小していくことが明白です。そこで、どの企業も海外進出に力を入れています。しかし残念なことに、現在多くの企業が海外進出を試みていますが、大企業も含め苦戦している現状です。オフショアで海外進出することで、海外展開を視野に入れた開発や業務が可能になるので、今後海外進出を視野に入れている企業にとってオフショアはその大きな第一歩になります。

オフショア開発のデメリット

言葉の壁

まずは言葉の壁です。通常、オフショア開発ではブリッジSEという現地と国内のコミュニケーターとなるエンジニアを雇います。ブリッジSEを間におくことで、言葉の壁は乗り越えられるだろうと簡単に考えている方も多いようですが、実際にはなかなかスムーズにいかないケースも多いです。
言葉だけでなく習慣や文化が違う点も考えると、日本人特有の「納期に間に合わなければ残業してでも完成させる」「言われてないことでも必要と思えば自分からやる」などの細かなニュアンスは通用しません。工程がうまく進まず「納期に間に合わなかった」「人材を増やして余計なコストがかかった」などという失敗例はよく聞く話です。

管理が手間

オフショア開発を成功させる上で最も重要なのが、コミュニケーションをこまめにとることです。近年では会議の打ち合わせもSkypeなどの遠隔管理で行えるようになりましたが、実際の開発現場を見ることは難しいのが現状です。こまかな進捗管理やトラブル時の対応など、自社ですぐに解決できるような場合に比べると、オフショア開発でのプロジェクトは手間がかかるという点は否めません。

ニアショア開発のメリット・デメリット

ニアショア開発のメリット

コスト削減

オフショア開発のコストパフォーマンスには劣りますが、自治体によって最低賃金が違うように、ニアショア開発も充分にコスト削減が期待できます。近年では、ニアショア開発を地方再生に活用する自治体も増えてきており、和歌山県、新潟県などは交通アクセスの便利さを利点に、ニアショア開発誘致に力を入れています。
そのため、コストの安い人材を国内でも比較的簡単に見つけることができるようになりました。

コミュニケーションがとりやすい

海外でのオフショア開発において失敗するケースで一番多いのが、要件定義や仕様について、エンジニアが理解しきれないまま作業を進めている場合です。ニアショア開発は、その点において言語や理解における壁がないので、オフショア開発と違い各段にスムーズに作業が進みます。
その点では国内の人材が活躍するニアショア開発の方が、コミュニケーションがとりやすいので、発注側も安心して任せることができます。

災害時のリスク回避

ニアショア開発は国内に複数の拠点ができるため、大きな災害などが起きた際に、すべての開発拠点がストップしてしまうというリスクを回避しやすくなります。2011年東日本大震災の教訓もあり、近年ではリスク回避の一環としてニアショア開発を利用している企業も増えています。

ニアショア開発のデメリット

大幅なコスト削減は期待できない

ニアショア開発では、確かにコスト削減が期待できますが、あくまでも委託先は同じ国内になるので大幅なコスト削減は期待できません。
都内で優秀なエンジニアを雇うよりは安いという感覚程度にしておきましょう。

国内のIT人材不足

そもそも日本ではIT人材が圧倒的に足りていません。今後もこれは深刻化し、IT人材の希少性が高まることから、国内IT人材の単価も上がっていくことが予想されます。そうなると、ニアショア開発本来の目的であった開発コストの削減が難しくなってしまうことも考えられます。

【2020年版】オフショアとニアショアはどうなる?

「オフショア開発はこれからどうなるの?」「時代はニアショアってどういうこと?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

オフショアが日本で普及し始めたのは2000年頃からですが、当時とは環境が変わってきました。当時のオフショア委託先はほとんどが中国でしたが、現在では中国の人件費高騰により、新規オフショア案件の約7割がベトナムで行われるようになりました。ベトナムの人件費は現在日本の約1/3と言われますが、今後中国と同様に、ベトナムの人件費も高騰していくと予測されています。

こういった問題が付きまとうオフショア開発ではなく、ニアショア開発によって地方での就業機会を増やそうと、東北や九州、沖縄などの地方ではニアショア開発の誘致が積極的に行われています。しかし、そもそも日本ではIT人材が慢性的に不足しているので、今後国内のIT人材不足が解消されるということは考えにくいでしょう。

世界的にIT企業が増えていることも踏まえると、今後もオフショア開発の需要は増えていくという考えが多いです。

そのため、オフショア開発やニアショア開発を検討している会社さんは、長期的な視点で、自社の開発案件にはどの拠点が適しているのか決断しなければなりません。次章では、オフショアとニアショアを使い分けるポイントを解説します!

最適な開発手法を見極める2つのポイント

1.目的を明確に

1つ目のポイントは、開発業務を他社に委託する目的を明確にすることです。
目的とは、「コスト削減」なのか、もしくは「IT人材の早急な確保が優先で、コスト削減は二の次」なのか、などです。
例えば、開発コストの削減が一番の目的であるならば、大幅なコスト削減が期待できるオフショア開発が向いていますし、IT人材の早急な確保を一番の目的とし、コスト削減は二の次であるならば、コミュニケーションがスムーズで即戦力となる人材を確保しやすいニアショア開発が向いています。目的が明確になることで、どのような開発拠点が適しているのかを明白にすることができます。

2.開発案件の規模を把握する

2つ目のポイントは、委託する開発案件の規模を把握することです。
オフショア開発は、多くの人材を雇うほどコストパフォーマンスが高くなるので、大型の開発案件に向いています。逆に、小規模の開発案件もオフショア開発をしてしまうと、渡航費や宿泊費がかさみ、結局そこまでのコスト削減ができなかったなんてことにもなりかねないので、その場合は近くの開発会社に委託するニアショア開発の方が向いています。
委託するプロジェクトの規模は必ず事前にチェックしておきましょう!

まとめ

オフショアとニアショアの違いについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

  • オフショアは海外へ業務委託すること。
  • ニアショア開発は国内の地方へ業務委託すること。
  • オフショア開発のメリット
    ➀大幅なコストの削減➁優秀なIT人材の確保➂海外進出への可能性
  • オフショア開発のデメリット
    ➀言葉の壁➁管理が手間
  • ニアショア開発のメリット
    ➀コスト削減➁コミュニケーションがとりやすい➂災害時のリスク管理
  • ニアショア開発のデメリット
    ➀大幅なコストの削減は期待できない➁国内のIT人材不足

オフショアとニアショアでは、それぞれメリットやデメリットが異なります。安全性を確保するか、よりコスト減を目指すか、など開発する案件の内容によってその選択肢が違ってきます。委託する製品や任せる工程によって、より適切な開発委託先を選択するようにしましょう。

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