【2020年版】オフショアするなら知っておくべき!正しい使い方と注意点

はじめに

オフショア開発というのは、開発コストを下げるための手法のことですが、今が旬のスマホアプリの開発やソーシャルゲームの開発に限らず、大規模なソフトウェア開発やシステム開発、さらには運用保守管理など、オフショア開発の分野は多岐にわたっています。
基本的にオフショア開発というのは、海外の開発会社、さらには海外子会社などにアウトソースすることが一般的です。
オフショア開発はすでに日本企業の半数近くが導入しているといわれています。ここではオフショア開発の注意点と正しい使い方について説明します。分野や国によっても注意点は異なりますので、よく検討することが必要になります。

オフショア開発が注目されている

近年の動きとして、特にグローバル化やクラウドビジネスの増加や拡大により、IT技術者の需要が急激に高まっています。一方で日本ではIT技術者が不足していることに加え、人件費の高騰が大きな問題となっているのです。そのような中で、大きなコスト削減をしていかないと収益を確保することが難しくなっています。そこで、コスト削減が見込める手法として期待されているのがオフショア開発なのです。
オフショアを外注と安易に考えがちですが、Shoreが「岸」という意味で、Off(離れる)という言葉からOffshore(海外)という意味になりました。このことから、和製英語的なところがある言葉なのです。90年代のインターネットの急激な普及から情報化時代、グローバル化といった言葉がもてはやされました。しかし、現代こそその言葉が重くのしかかり、ソフトウェアの開発に多くの優秀な人材を必要としています。
日本国内だけでは、そういった需要増に供給が追いつかない状況が既に始まっているのです。このエンジニア人材の不足は2030年には40万人以上の規模になるとの予測もあり、人材不足対策は急務となっていて、そのためにオフショア開発が注目されています。最近の新聞の見出しにも外国人労働者の活用などが声高に叫ばれています。現在は少子高齢化のあおりを受ける形で、どこも人材不足が深刻な問題となっているのです。それは単純労働だけではなく、知的労働でも人材不足が言われるようになり、オフショア開発が求められるようになったのです。

オフショア開発の目的

日本がオフショア開発のために進出している国として、中国・インドといったアジアの大国と新興著しいベトナムやインドネシアなどの国があげられます。早くからIT大国として技術者が優秀なことが知られているインド、さらにオフショア開発の歴史の長い中国は日本と強い関係にあります。そして、人件費の安さが注目されるベトナムとインドネシアは、社会的インフラも急速に整備されていて開発環境も大幅に整ってきているのです。
オフショア開発の拡大を目指す日本企業の目的はどこにあるのでしょうか。そのひとつは紛れもなくコスト削減です。ソフトウェア開発の世界では、特にグローバル市場での展開せざるを得ないケースが増えています。競争力確保と収益確保のためには、開発コスト削減というのは急務であり至上命題と言えるでしょう。
そして、オフショア開発の目的として、コスト削減の他にリソースの確保があげられます。オフショア開発には、コスト削減のメリットを追求するだけではなく、開発するシステムやソフトウェア事態に高いクオリティが要求されるのです。コストをおさえるために多少の品質の悪さには目をつぶるということではありません。高い品質とそのための開発リソースの確保も急務となっているのです。
以上のコスト削減とリソースの確保が、日本企業がオフショア開発を推し進めている大きな目的となっているのです。また、目的にむかっての推進はそのままオフショア開発のメリットにもつながっているのです。

オフショア開発の正しい使い方

オフショア開発の正しい使い方は、いうなればメリットの追求にあるといっていいでしょう。ITのスピードアップが必須となってきている現在は、めまぐるしく変化する時代とも言えます。企業にとってソフトウェア開発やWEB開発といったIT化にはどうしても避けて通れないコストが存在するのです。それを解決するのがオフショア開発であり、そこには、言うまでも無くコスト削減と、エンジニアの確保、そして開発のスピードアップがあるのです。
日本と比較して人件費や事業コストの安い海外の人材や企業を活用することで、開発コストの削減が大きく期待できます。ここで大切なのは、コストを削減しながらエンジニアのスキルは日本と同レベルかそれ以上を求め、変えないということです。また、何度も言うようですが、日本ではIT技術者が不足しています。オフショア開発では、発注先である海外のオフショア開発先で、多くの実力のあるITエンジニアを確保できるという、現在の日本の抱える問題を一気に解決できるような大きなメリットがあるのです。また、人材だけではなく、大規模なシステム開発にも対応できるIT開発会社の確保もできるという利点もあります。
コスト削減の大きなポイントとなるのがスピード化です。低コストで開発のスピードアップが図れたら更なるコストダウンが期待できるのです。優秀な人材が品質の高いソフトウェアを短期間で開発することができたら、さらに大きなコストダウンがはかれるということになるのです。

オフショア開発で注意するポイント

オフショア開発を正しく使うことで、大きなメリットを得ることができる反面、注意しなければいけないところも多々あります。それは、オフショア開発の難しさにあるのです。というのも習慣も文化、考え方が異なる相手と一緒に協力してひとつのシステムを作り上げて行く難しさです。オフショア開発を丸投げしても、思ったような内容や品質を得られないことは当然あります。ですから、オフショア開発といいながらも多くの部分では、日本人技術者との協働となるのです。そこに言葉の違い、文化の違いといった問題が浮き彫りになってきます。
日本国内でアウトソーシングを目的とした、オフショア開発に進出しても失敗して撤退ということが繰り返されてきたのです。注意したいポイントとして、言葉や地理的な問題があるので、打ち合わせ不足や進捗・工程管理に時間がかかること、品質や仕様などの点で意識の共有化が図れていないといった問題があるのです。
これらは、一言で言ってしまえば相互理解ができていないということになってしまいます。どこかで是正できなければ、結果として、より緊密なコミュニケーションを取ることができないまま、事態は悪化の方向へと進んでいき、できあがった結果は決して満足のいかないものとなってしまうのです。そうなるとできあがったものを結局は国内で修正していくということになります。低コストを目的としながら、高コストになってしまうという結果になってしまうのです。
また、要件仕様の理解不足はやはり多いです。高いIT技術を持っていても、仕様を出す側と受ける側のコミュニケーションがしっかり取れていないと、そのオフショア開発はうまくいきません。これらを解決するには、常に意思の疎通を考え、コミュニケーションを密にしていくことが求められます

おわりに

オフショア開発は、ここで説明したような問題やそれに対する失敗を繰り返しながらも、試行錯誤による問題の是正によって効率化が図られてきました。今では半数にもわたるIT企業が何らかの形でオフショア開発を進めているのです。オフショア開発の規模は2005年から2010年のわずか5年の間に3倍になったとされています。既に市場として確立されているのは間違いなく、日本のIT企業はオフショア開発無くして成長無しという段階にまで来たということになります。効率よくプロジェクトを進行するためにも、オフショア開発の使い方、注意点をよく理解し検討することが必要になります。

Top