【必見】オフショアでコストメリットが出ない理由はココにあった!

「オフショア開発」という言葉はニュースなどでもよく耳にしますが、具体的にどのようなものなのかをきちんと把握している人は意外に少ないものです。「オフショア」はサーフィンでよく使用される言葉で、陸から海に向かって吹く陸風のことを指します。
これが転じて、オフショアリングというのは企業の業務の一部を海外に外注するという意味で使われるようになりました。アウトソーシングは国内における外注ですが、これが海外になるとオフショアリングと呼ばれるわけです。
特にシステム開発でオフショアリングが行われることが多くなっていますが、ここではオフショア開発で大切な開発基盤について見ていきましょう。

オフショア開発で重要な役割を占めるベトナム

海外のオフショアリング委託先というと以前は圧倒的に中国が多かったのですが、最近ではベトナムやミャンマーが中国に代わって活躍するようになりました。オフショア開発が始まった動機というのは膨大な時間と人件費がかかるシステム開発を少しでも安くするため、つまりコストダウンでした。
ところが中国の物価と人件費が大幅に上昇してしまい、オフショア開発のメリットが得られなくなったことから拠点はベトナムやミャンマーに移っていきました。ベトナムは中国よりも物価が安く、しかも親日家が多い国ということでオフショア開発の委託先としては格好の国です。
オフショア開発を成功させるには委託先の国の習慣や国民性、宗教や言葉の問題が非常に重要ですが、ベトナムは宗教的にも日本人が理解しやすいスタンスを取っており、文化的な葛藤もない国です。このため共同作業がしやすく、仕事の成果も上がりやすいのが特徴です。また、優秀なエンジニアが多いのもベトナムでオフショア開発を行うメリットのひとつとなっています。特にソーシャルゲームなどの開発に関しては日本国内では探すのが難しい人材を簡単に見つけることができ、しかもローコストの予算でクオリティの高いものができます。オフショア開発=コストダウン=クオリティの点では劣るといった図式は全く当てはまらないことになります。
ベトナムと並んで最近ではミャンマーでも盛んにオフショア開発が行われていますが、オフショアの歴史が浅いこともあり、現時点では小規模の案件が多く走っているという状態です。しかし、今後はミャンマーでのオフショア開発が盛んになってくることが予想されます。

言葉とコミュニケーションの重要性

オフショア開発でネックとなるのは日本との時差とメンタリティの相違、そして言葉です。時差に関してはアジアの国であれば日本とあまり違いがなく、ベトナムで2時間、ミャンマーで2時間半です。つまり日本の午前8時がベトナムの午前6時ですから、納期などに関して事前にしっかりと打ち合わせをしておけば、それほど気にならない程度の時間差ということができます。
メンタリティに関しては、アジアの中でも特にベトナムとミャンマーは礼儀正しく生真面目な性格の人が多いため、日本人とはかなり仕事がしやすいという特徴があります。
いちばん気になるのは言葉の問題ですが、ミャンマーの人は特に日本語をすぐに覚える傾向があるため、意思の疎通がはかりやすいという特徴があります。実際に、仕事を開示する前に数ヶ月日本語のクラスに通ってもらうだけで簡単な受け応えがすぐにできるようになるなど語学力に優れている場合が多く、今後もミャンマーにおけるオフショア開発は拡大していくことが予想されます。
逆にいえばひとつの案件が終了したらそれでおしまいということではなく、日本語クラスに通ってもらうなどの投資をして専属として働いてもらうことで効率が上がるとも言えます。プロジェクトごとに人を集めて発注する形態を「受託型(請負型)」、一定期間専属チームを拘束して仕事を依頼する形態を「ラボ型」と呼びますが、優秀なエンジニアを確保したいのであればラボ型のほうがおすすめです。現在、日本では受託型の発注方法が主流となっています。

ラボ型のメリット

プロジェクトがいくつも連続しており、オフショア開発をある程度長期的な目で見ることができる企業にとっては受託型よりもラボ型のほうがお得なこと も あります。ある一定期間、必要な人数を専属チームとして抱えることになりますから人件費は継続的に発生しますが、その分チーム人員に日本語の研修を受けてもらってより円滑なコミュニケーションができるようにするなど、お互いに成長しあっていける点がラボ型のメリットということができます。
オフショア開発では、現地のシステムエンジニアとブリッジエンジニアたちと仕事を進めていくわけですが、両国の橋渡しとなるブリッジエンジニアに関しては、いい人材が見つかったらその時点で専属として契約してしまったほうが何かと有益です。
また、特にシステム開発のみに限らず定期的な保守運用作業なども発生する仕事の場合には、ラボ型にしておかないと不都合が生じてくることがあります。ただしオフショア開発すべきプロジェクトがひとつしかない、当面単発の仕事しかないというのであれば受託型のほうが経済的ということになります。ラボ型では仕事を委託してもしなくても毎月お給料を払わなければならないからです。
ちなみに日本からのオフショア開発委託が多い6ヶ国(中国・ベトナム・ミャンマー・フィリピン・バングラデシュ・インド)のうちでエンジニア1人当たりの給与が最も低いのはミャンマーの約12~18万円です。インドが約30万円ですから、約半分の人件費ということになります。

プロセスや体制の見直し

オフショア開発の目的は何といってもコストダウンにあるわけですが、オフショア開発を委託している企業のうちの約10%はせっかく海外に外注したのにコストの面では国内のアウトソーシングと同じぐらいかかってしまい、メリットを全く感じられなかったという統計結果が出ています。
オフショア開発がうまくいかなかったということは、プロセスや体制に問題があったと見て間違いありませんから、この点を見直していくことで次回からは確実なコストダウンを図ることができます。
オフショア開発でうまくいかなかった例のほとんどではコミュニケーションギャップがその理由になっています。細かい言葉のニュアンスが伝わらなかった、何度も確認したはずなのに意図がきちんと伝わっていなかったなどといった理由で仕事がうまく仕上がらず、不本意な結果について終わってしまったという事はよくあるものです。
オフショア開発を継続して委託する予定があるのなら、コミュニケーションギャップのないブリッジエンジニアを探すなどして体制を整えてから次の仕事に入らないと、また同じことの繰り返しになりますので注意しなければなりません。
だいたい、「お客さまは神様です」という概念を持っているのは日本人だけですから、お客さまである日本の発注企業が途中で何度も仕様を変更したりすると、受注後する方は「わがままなお客」と思い、対応しきれないことも出てきます。ですからこの辺りのニュアンスも熟知しているブリッジエンジニアを選択するなどして業務連絡がスムーズに進む工夫をすることは大事です。

近ごろはオフショア開発といっても委託先の人件費が上昇してきて思ったとおりのコストダウンができないこともしばしばあります。後から「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、発注をする前に詳細をしっかりと確認しておくようにしましょう。
オフショア開発委託が初めてという場合には、経験の豊かなコンシェルジュが在籍しているマッチング会社に依頼をするのが理想的です。闇雲にただ安いからという理由だけで開発を依頼してもいいものはできません。
また、委託先と依頼したいプロジェクトが合っているかどうかを確認するのも重要なポイントです。

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