オフショア最新動向|企業が知っておくべきオフショア開発情報まとめ

はじめに
これから始まるオフショア開発
オフショア開発には長期的視野が必要
新しい技術をオフショア開発で
オフショア開発のこれから
おわりに

はじめに

早い企業では、何年も前から海外でオフショア開発を行ってきました。オフショア開発が日本で普及しはじめた2000年頃は、中国、インドといった当時の新興国がオフショア開発の委託先としてメジャーでした。特に大手IT企業では、早くから人件費の削減を目的として、オフショア開発に乗り出していたのです。それが現在では、企業の中でもこれからのところが多い、 IoT技術開発までオフショア開発に頼るようになりました。自社の開発技術が不足しているにも関わらず、何でもかんでもオフショア開発会社に業務委託してしまうような国内のオフショア企業に将来の展望はあるのでしょうか。
中国やインドは経済成長が著しく、人件費が高騰して収益の旨味といったものがオフショア開発ではなくなってしまったのが現状です。
より安い人件費を求めて、中国やインドから、新興著しいベトナムやインドネシア、そしてフィリピンへとオフショア開発の軸足が移っているのです。その中でオフショア企業の進化はまだ続くのでしょうか。

これから始まるオフショア開発

オフショア開発を少なくとも一度は行ったことのある企業は半数にものぼるということです。意外にも多いという印象でしょうか。
それには、日本のIT技術者の深刻な人手不足が背景にあるのです。経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2020年には約30万人、2030年には約59万人ものIT技術者が不足するとされています。言葉の壁もあるオフショア開発を利用するよりも、国内のIT会社にソフトウェア開発を依頼する企業も未だに少なくありません。しかし、人手不足の克服とコスト削減というのは待ったなしで、あらゆる企業にふりかかってきているのです。少子化の行き着く先は国内需要の先細りと、経済成長の停滞です。それを打破するにはオフショア開発を利用して、海外でIT人材を確保するしかないのです。
オフショア開発黎明期では、人材の不足というよりも安い人件費に目が向けられたものでした。IT技術もソフトウェア開発という下流工程のものが多かったのです。それが、新興著しい中国やインドではみるみる人件費が高騰していき、人件費の安さという旨味はなくなったのです。しかし、逆に高度なIT技術が育ちましたから、それまでの下流のソフトウェア開発だけではなく、中流、さらには上流プロジェクト開発の基本設計部分をまかせることができるようになりました。
このあたりになると、人件費の安さというよりも人材不足の解消がオフショア企業にとっては死活問題となってきたのです。これから始めようとするオフショア開発もコストカットを求めながら、人材不足を解消することが至上命題となるのは間違いありません。

オフショア開発には長期的視野が必要

企業が成り立っているのでしたら、オフショア開発をしないという選択肢もあります。しかし、内需の先細り感が否めず、リソースの確保という面では、海外でのツテを確保しておくのは企業の存続を考えたうえでも得策といえます。もっとも、数人で行っているベンチャー企業がオフショア開発を利用しても、それほどの旨味はないでしょう。逆にパートナーシップ契約をして技術の習得に務めるといった選択肢もあります。いずれにしても、オフショア開発は単発ではなく、やることを決めたら、腰を据えてじっくりと長期的な視野を持ったほうがいいしょう。そのためには、プロジェクト開発などの受注があることが前提条件となります。
そのためにも大切なことがあるとしたら、オフショア開発企業から見て、日本企業が魅力的な発注企業であることが大切です。金払いの件もそうですが、信頼関係がもっとも大切なのです。特に外国企業との契約になると最後にものを言うのは信頼関係です。何事も契約通り最後までやり通すこと、約束は守ること、これさえ忘れなければ外国企業との信頼関係を構築するのは難しいことではありません。それこそが長期的視野にたってオフショア開発を利用する上で大きなポイントとなるのです。一方で日本企業の語学力が低いことで、不満を募らせるオフショア開発企業も少なくないようです。そのためにも優秀なブリッジSEの確保も急がれます。オフショア開発企業と国内企業との橋渡しができるブリッジSEの存在もとても重要なポイントです。

新しい技術をオフショア開発で

IT技術は日本が進んでいると多くの人が思っているかもしれません。しかし、戦後の高度経済成長期に日本が先進国の仲間入りを果たし、技術力で先進国と肩を並べた様に、現在ではその逆の現象が起きているのです。というよりもIT技術では既に日本企業の分が悪いでしょう。先端技術においても、さまざまな分野で日本がオフショア開発企業に発注してプロジェクト開発を行っているのです。
例えば、AR/VRという分野では、基本設計まで行えるインドのオフショア開発企業のほうが日本企業より上のケースが多いです。
上流の基本設計はインドなどのIT大国に依頼し、末端のソフトウェア開発は、新興著しいベトナムに任すといった分業制が成り立つのもオフショア開発の強みといえますし、これもまた新しいオフショア開発の形になってきています。
オフショア開発企業にとって、これからはIoT技術開発が大きく求められる部分です。インドやベトナム、さらにはフィリピンやインドネシアといったアジアの国々の開発力が世界を牽引していく時代になったのかもしれません。

オフショア開発のこれから

まだまだこれからオフショア開発に乗り出すという企業もいることでしょう。うまくいくかどうか不安という企業も少なくないでしょう。しかし、既に先駆となって走ってくれた国内企業も多く、その先例は失敗の事例も含めて数多くあります。失敗しないオフショア開発の利用例として、まずは両者の橋渡しをしてくれるブリッジSEを指名することです。派遣会社から雇うのも良いですし、オフショア開発会社が用意してくれたブリッジSEでも問題ありません。もちろん国内企業が用意してもいいです。オフショア開発が成功するかどうかは、優秀なブリッジSEにかかっているといえます。
そして、現在はほとんどのプロジェクト開発をオフショア開発企業にまかせることのできる時代となりました。人材不足とはいえ、手の空いた社内技術者の、これからの最先端の技術開発、技術の習得をしていかなければいけないのです。今後の流れとしては、自動化です。自動運転もそうですし、遠隔操作、人の手を患わせることのないロボットを活用する世界などです。
また、これからどんどん増えてくる外国人労働者の活用がオフショアとはまた違った意味で国内の労働環境に革命を起こすかもしれません。
いずれにせよ、IT企業は技術の進歩に乗り遅れることなく、IT業界を牽引していく気概を見せて技術開発を進めてほしいものです。

おわりに

オフショア開発の利用は既に長い歴史があり、IT企業の多くはその恩恵に預かってきたことでしょう。しかし、人件費の高騰からオフショア開発の拠点を変えることも起こっているなかで、人手不足とコスト削減が至上命題なのですが、給料が上がらなくて良いのならコスト削減もそれほど必要はないでしょう。しかし、給料は上がったほうがいいですから、コスト削減をし、人材不足を補うために海外のオフショア開発を利用するのです。それがこれまでの流れだったのですが、そのオフショア開発が飽和する中で、国内企業は更なる技術開発やAR/VRを活用した、新しい次の一手を考えなくてはいけないのです。

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