【2020年版】オフショア開発業界の動向を調査!オフショアのトレンドは?

近年オフショア開発という言葉をよく耳にするようになりました。オフショア開発は、日本より人件費の安い海外、主にアジアの国々に開発を委託して、コストを大幅にカットする開発手法のことです。

しかし最近、オフショア開発を委託している国々の人件費高騰が進み、コストの削減が難しいケースも増えています。今後もオフショア開発は進展していくのか、あるいは衰退していくのか、この記事ではオフショア開発の今後について考えてみます。

すでにオフショア開発を活用している会社さんや、これからオフショア開発をしようかな…と検討している方はぜひ参考にしてみてください!

オフショア開発業界の動向

IT人材不足

「オフショア開発業界は今後も進化していくのでは…」という声も多数あります。その背景には、国内のITエンジニア不足があります。そのため、今後もオフショア開発が普及していくと予想されているのです。

特に最近では中小企業も海外に拠点を出し、現地法人との提携を行い、オフショア開発を押し進めている事例が増えています。オフショア開発を利用して国内で人手が不足しているPGの開発工程を充足させる動きもあり、これはオフショア開発がこれからも伸展していくという根拠になっているのです。

エンジニアのグローバル化

「なんでもオフショア開発に…」というようにオフショア開発に頼りすぎてしまうことで、国内のエンジニアの成長ステップが阻害されてしまうという声も出ています。プログラマーを経験し、そこからシステムエンジニアになるという、従来のエンジニアの成長ステップがありましたが、PG工程をオフショア開発にすることで、「国内で優秀なシステムエンジニアが育つのか?」という声が出ています。

これは、プログラマーはいなくなってしまうのかという命題に突き当たってしまうのですが、そこがオフショア開発の進んでいる部分でもあります。人件費が安いというだけではなく、誰でもできることはオフショア開発にまかせるというスタンスとなり、そこに今後もオフショア開発が進化していく根拠があります。

もはや、エンジニアはグローバルに活躍する時代です。

Skypeなどの遠隔会議システムが進化した今、賃金やスキル、コミュニケーションの取りやすさなど、企業にとって最適なエンジニアを世界という広いフィールドの中から選択できるようになったのです。

日本からプログラマーがいなくなる?

プログラミング工程

オフショア開発の依頼をするのは、主にプログラミング工程となっています。プログラムというと、システムの根幹となるイメージを持つ人が多いと思います。そのような大事な部分をオフショア開発にしてもいいのか」不安を抱えている人も多いですよね。

しかし、PG工程の部分は国内であっても外部委託をすることが習慣的に行われてきました。というのも希望に添ったPGが納品されたら内容はかまわないとされてきたからです。実際には内容がかまわないというよりも、システムエンジニアが作成した設計書通りに作られていて、それがしっかりしたものであれば、誰がプログラムを作ってもかまわないということです。

国内のプログラマーはいなくなる?

一昔前でしたら、1人のスーパープログラマーがいるような時代もあったのですが、現在システム開発では分業制が進んでいるので、1人が通してプログラムを組むということがなくなり、ツールの進化もあって誰でもできるものになったのです。そうなると、プログラム言語は世界共通ですから、言語の壁も少ないオフショア開発が利用されてきたのです。

そして、システム設計書がしっかりしていれば、プログラムを作る人の質は関係なく、誰が作業しても変わらないプログラムが上がってくるのです。もちろんある一定のレベルのプログラマーであることが大前提となります。

この点を考えると、日本国内では設計書が書け、あがってきたプログラムのシステムテストができるシステムエンジニアのみが必要ということになります。そのため、将来的に日本からプログラマーはいなくなると思ったほうがいいでしょう。このことからも、PG工程の部分はこれからも引き続きオフショア開発が有効に利用されるはずです。

オフショア開発は衰退するのか

オフショア開発は優れた点が多いのですが、オフショア開発をスムーズに活用できている日本企業はまだ少ないという実態も報告されています。多くの日本企業がオフショア開発で苦戦しているというのです。
考えられる理由は以下の3点です。

  • 人件費の上昇
  • 政治的要因
  • 仕事に対する意識
人件費の上昇

まずは人件費の上昇です。オフショア開発を委託している国は新興国が多く、経済規模は日進月歩で大きくなっています。そうなると当然ですが、現地で働いている人の人件費も上昇していきます。そうなると、いずれは日本人のエンジニアの人件費と大差ないくらいに上昇するので、オフショア開発自体に魅力がなくなってしまうのです。実際に、これまでは中国とインドがオフショア開発の主流だったのですが、人件費の高騰により、そこから撤退して拠点をベトナムやフィリピン、インドネシアに移す企業が多くなっています。

政治的要因

また、政治的な要因もオフショア開発のリスクとなっているのは否めない事実です。日本では考えられないような国内情勢が大きく影響する場合もあるのです。テロや内紛、暴動といったことが日常的に行われている地域もあります。現に香港での大規模なデモは今もなお激しい内戦が続いていますよね。政治体制が不安定では国内の治安が悪化し、オフショア開発企業の活動にも大きな影響が出ることが考えられます。

仕事に対する意識

最後は、仕事に対する意識です。これは国によって価値観が違うことで、大きくずれてくる部分です。日本人は良くも悪くも決められた事に対してきちんと仕事をこなします。一方でオフショア開発企業の人々は同じ感覚でないことが多いのです。価値観の違いやモチベーションの違いなどもしっかりと把握して取り組む必要がありますし、最悪の場合、「順調に開発が進んでいる報告を受けていても実態は全く進んでいなかった。」なんてことも実際にあるのです。異国の人々とプロジェクトを共にするオフショア開発において、こまかな進捗確認などの作業は必須です。

オフショア開発の今後はどうなる?

人気の委託先

人件費高騰によって、オフショア開発の拠点はインドや中国から、ベトナムやフィリピンに移りつつあります。この中でもベトナムの経済成長は著しく、いずれは中国やインドのように人件費が高騰するでしょう。
つまるところ、オフショア開発というのはこういった繰り返しとなるのです。まだまだオフショア開発については、ベトナムが主流となっても数年間はコストメリットを出すことが可能だと言われていますが、そのあとは、また新たな新興国がオフショア開発の拠点となるでしょう。

オフショア開発の形

今後は、いままで委託先になることが多かった中国やインドが、反対にオフショア開発をする側として乗り込んでくることも増えてくるでしょう。そのため、今後オフショア開発の市場規模は日本では衰退していくという予想もあります。それらを考えると、国内で自給自足できるようにプログラマーの育成が急務となる場面も出てくるでしょう。
また、オフショア開発ではなくオンショア開発ということで、海外の技術者を日本に招請することも現在進められているのです。
これまでのオフショア開発という関係ではなく、対等の立場としてシステム開発を構築する体制も望まれており、すでに大手IT企業などでは国内と海外の人材が混合した開発チームも増えています。そういった意味ではオフショア開発は衰退する、規模が小さくなるというのではなく、形を変えて生き残っていくと予想されています。

おわりに

  • 国内ではITエンジニアが不足している
  • エンジニアはグローバルに活躍する時代になっている
  • 国内のプログラマーは今後も減少していく
  • オフショア開発は規模が小さくなれど、今後もシステム開発手法の一つとして生き残る

オフショア開発はこれから衰退するのか更なる進化を遂げるのか。グローバルな世界ですから、答えはなかなか見つかりません。すぐになくなることはなくても、ソフトランディング的に縮小していくことが予想されています。

それでも、せっかく構築した海外とのコネクションですから、お互いがパートナーシップを結んで新たなソフトウェア開発の先駆けとなるのは間違いないでしょう。

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