中国でオフショアする時代は終わった?その理由や問題点を徹底解説

かねてからオフショア開発の委託先として人気の中国は、現在においてもその候補に選ばれることが少なくありません。
しかしその一方で、オフショア開発を検討する日本企業の中には中国を敬遠する動きもみられるようになりました。中国におけるオフショア開発にはさまざまな変化が生じ始めているのです。
今回は、このような中国のオフショア開発に変化をもたらしている中国におけるオフショア開発の問題点を徹底的に解説します。
オフショア開発の委託先として中国を検討している企業の方は、ぜひご一読ください。

中国オフショアの基本情報

国民性 主体性があり、行動力はあるが協調性に欠ける一面もある。メンツを気にするので、人前で怒られたり指図されることは好まない人が多い。
宗教 約90%が無宗教
経済状況 2017年度のGDP成長率は6.9%
エンジニア単価 38.13万円(オフショア開発.comより)
エンジニア技術力 対応言語も豊富で、実績もある優秀なエンジニアが多い。

中国はオフショア開発としての歴史も長く、委託先として人気の国です。優秀なエンジニアがいるだけでなく、時差も1時間と短いので、オフショア開発で一番の問題となるコミュニケーションも比較的とりやすい環境にあります。

中国がオフショアで注目されたきっかけ

オフショア開発の委託先として中国が人気な理由は2つあります。それは、人件費の安さ日本から近いという地理的条件です。それぞれ解説します。

人件費の安さ

オフショアが日本で普及しはじめた2000年頃は、製造業に属する多くの日本企業が中国でのオフショアを行っていました。製造業においては、工場で働く作業員として、「とにかく多くの人材を、いかに安く確保するか」ということが優先されたため、世界第一位の人口を保有し、かつ人件費が安く済む中国は、製造業におけるオフショアにとって最適な委託先だったのです。

地理的条件

当時オフショアを行っていた製造業においては、製品の品質を高い状態で維持するため、現場を管理する体制を整えることが非常に重要でした。そのため、両国間を社員が行き来しやすいという点が大きなメリットとなりました。また、中国と日本の時差は1時間であり、連絡を取りやすいという点も中国がオフショアの委託先として選ばれる理由でした。

以上のように、中国には当時のオフショアにおいてメリットとなりうる条件がそろっていたため、その委託先として注目を集めたことは必然だったといえるでしょう。

人件費の高騰は大きな問題

人件費が安く、日本からも近い中国は、オフショア開発の地として選ばれることが多かったのですが、急速な経済発展を遂げ始めてからは、中国でのオフショア開発にも変化がみられるようになりました。

人件費の高騰

とりわけ大きな問題となったのが中国における人件費の高騰です。この問題は急速な経済発展によって誘起され、高度な技術や知識を必要とする職種ほどその高騰ぶりは激しくなりました。そのため、業種によっては中国でオフショア開発を行っても、本来の目的のひとつである「人件費の削減」が達成できないケースも出てくるようになり、中国でのオフショアから撤退する企業も多くなりました。

東南アジアのオフショア誘致

人件費という観点において近年目が離せないのが、東南アジアにおける優秀な人材の育成状況です。中国の人件費の高騰に伴って、他の国でのオフショア開発を検討する日本企業が多くなったことから、フィリピンやベトナムといった東南アジアの国々では、官民一体でオフショア誘致政策が行われるようになりました。特にIT業界における人材育成の取り組みが進んでおり、IT系の専門学校は続々と設立されています。このような東南アジアの優秀な人材は日本の5分の1以下の人件費で雇えることも少なくないため、いまやIT業界においては中国よりも東南アジアでオフショア開発を行うケースが非常に多くなっています。

日本の企業に良い印象を持たない人も多い

人件費が高騰したとはいえ、中国には依然としてオフショア開発を行う地に適した条件が揃っていることから、今後もしばらくの間は中国でのオフショア開発が完全になくなることはないでしょう。しかし、中国には人件費の高騰以外でもオフショア開発に関する問題が存在します。

日本の企業体制に対する嫌悪感

中国には日本の企業に対して良い印象を持っていない人や企業が一定数存在します。その理由としては、日本企業の構造が関係していることが多く、例えば、「ひとつの契約を締結するために社内で入念に会議を重ね、上司の容認を得てから初めて契約書にサインする」という日本企業の時間のかかるやり方に悪い印象を持っている中国企業が多く存在するのです。

日本人の英語力の低さ

「日本人が英語を話せない」というのは有名な話ですよね。実感しているビジネスマンの方も多いはず…。日本人は学校で英語教育を受けているにも関わらず総じて英語力が低く、業務上必要なコミュニケーションが思うように取れないという人が多いです。そしてそのこと対して、煩わしさを感じている中国の企業は多いんです。このことも、オフショア開発では問題を引き起こすきっかけになりえます。

反日感情の高まり

オフショア開発に限らず、中国でビジネスを行う際に気をつけなければならないのが、政情に関係する反日感情の高まりです。中国では国民の感情が政情によって大きく左右されるという傾向があるため、政情が悪化することで日本製品の不買運動が行われたり、日本企業が出店した中国の店舗が襲撃を受けたりということもあります。このことも中国におけるオフショア開発の問題点として覚えておく必要があります。

国民性の違いが招く問題

中国におけるオフショア開発では、両国の国民性の違いが問題を引き起こす原因となる場合もあります。

文化の違い

中国人は日本人からすると責任を人に押しつけようとする傾向があるように見えることもあります。これは両国間の文化の違いによるものです。そのため、業務を行っていく過程で発生した問題の責任を日本企業が押し付けられてしまうことで互いの関係が悪化し、問題が肥大化してしまうこともあります。中国でのオフショアを検討している日本企業は、それらを回避するための準備を予めしておく必要があるかもしれません。

品質問題

製造業などでオフショアを行っていたころから問題となっていたのが、「一定の水準を満たしたらそれ以上のものを追求しようとしない」という中国人の国民性です。このことは、中国製品の精度の低さなどに表れていますが、高水準な製品を少量生産するより、普通かそれ以下の製品を大量生産することを得意としている中国の文化に由来しています。かつての製造業では、このことが大きな問題となることはあまりありませんでしたが、近年多くなったIT業界でのオフショア開発ではより高い精度が求められるため、このような中国の国民性を出されてしまうと製品の精度や安全性などに大きな問題が生じてしまう危険性があります。

このような国民性が引き起こす問題は、中国側だけに原因があるとは限らずむしろ、両国の国民性に違いがあることが原因です。そのため、このような問題を回避・解決するためには中国側へ改善を促すだけでなく、国民性の違いをよく理解し、日本の企業側が歩み寄る姿勢が重要になります。

おすすめの開発会社

富士ソフト株式会社

富士ソフト株式会社では、2010年よりグループ会社の中国法人ヴィンキュラムチャイナを拠点として中国オフショア開発のサービスを提供しています。富士ソフトのオフショアでは、日本語検定3級以上の優秀なエンジニアを保有している他、リアルタイムオフショアという高速回線での快適な開発環境が整備されています。初めてのオフショア開発で品質や、コミュニケーションに対して不安のある会社さんでも安心して業務を委託することができます。

社名 富士ソフト株式会社
本社所在地 神奈川県横浜市中区桜木町1-1
TEL 045-650-8811
公式サイト https://www.fsi.co.jp/index.html

株式会社アイティフォレスト

中国の南京市、西安市、青島氏でオフショア開発の拠点を展開しているアイティフォレストでは、ソフトウェア開発~アプリ開発などの幅広い開発案件に対応可能です。約20年のオフショア開発経験をベースにした、独自のスタイルで大規模開発にも対応しています。大手企業のオフショア開発実績も豊富なので、安心して任せることができます。

社名 株式会社アイティフォレスト
本社所在地 東京都港区東麻布2丁目22番5号 ベルス麻布ビル
TEL 03-5575-3671
公式サイト https://www.it-forest.co.jp/

株式会社リフトン

株式会社リフトンでは、IT、ソフトウェア関連の開発業務ではなく、コンピューターグラフィックスやDTP、海外進出サポートといった業務に対応しています。リフトンの中国人技術者は、日本の大学もしくは大学院を卒業しているため、日本語と中国語の読み書きや会話ができるという特徴があります。画像加工やデータ入力などの業務を中国にオフショアしたいという会社さんにはおすすめしたい開発会社です。

社名 株式会社リフトン
本社所在地 東京都中央区築地2丁目7番10号 築地シティプラザ1階
TEL 03-6226-1900
公式サイト http://www.refton.co.jp/

おわりに

  • 中国の人件費は、現在では日本と変わらないほどにまで高騰した
  • 日本企業の体制や日本人の英語力の乏しさに良い印象を持っていない中国企業は多い
  • 政情の悪化による反日感情には注意が必要
  • 日本と中国の国民性の違いによる問題には、事前の対策が必要

かつてはオフショアの定番であった中国も、人件費の高騰や東南アジアにおける優秀な人材の輩出により、その状況には大きな変化が現れ始めています。オフショア開発の委託先を検討する際には、その国特有のメリットやリスクを比較しながら、慎重に検討することが必要です。

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